茶トラはだいたいオス猫で三毛猫はほぼメス猫の理由がわかる!
目次
- ○ 茶トラはだいたいオス猫で三毛猫はほぼメス猫
- ○ 三毛猫はメスがほぼ100%
- ・気まぐれやクールな子が多い傾向
- ○ 茶トラや茶白の8割がオス
- ・体が大きく、愛嬌と食いしん坊が多い傾向
- ○ 最強の『白』の遺伝子
- ○ 【まとめ】三毛猫はほぼメス猫、茶白や茶トラは8割がたオス猫である理由
茶トラはだいたいオス猫で三毛猫はほぼメス猫
猫の毛色や模様はバリエーションがとても豊富ですよね。
よくみるキジトラ柄から、白色や黒色の子、サビネコちゃん…
ブチやくつしたを履いている子などと、実にたくさんの毛色や模様の子たちがいますよね。
猫の毛色や模様に関わる遺伝子は、分かっているだけで20種類以上もあります。
その組み合わせによって毛色や模様が様々に変化するため、いろんな子たちが存在するのですね。
猫の毛色を決める遺伝子は、性別を決めるX染色体の上にあります。
性染色体は両親から1つずつ受け継ぎ、この性染色体がメスではXX、オスではXYとなります。
三毛猫ではそのほとんどがメスであること、茶トラや茶白のほとんどがオスであることには、この性染色体が関わっています。
では、その理由を以下で説明していきます!
三毛猫はメスがほぼ100%
三毛猫とは、『白・黒・オレンジ(茶)』の3色が入った毛色をさします。
各色の割合は猫によって異なり、色の入り方によっては『とび三毛』や『しま三毛』と言われることもあります。
※とび三毛:全体的に白が多く、黒やオレンジのブチが体に少しだけ入った模様のこと。
しま三毛:黒やオレンジの部分にしま模様が入っている三毛のこと。
瞳はイエローやゴールド系が多く、肉球はピンク色の子が多い傾向にあります。
三毛猫は、そのほとんどがメスであるという特徴があります。
というのも、毛色を『黒にする遺伝子』と『オレンジにする遺伝子』は、性染色体Xにしかないためです。
※白は性染色体に関係なく入ります。
メスの性染色体は『XX』なので、オレンジと黒の両方の色を持つことができます。
その一方で、オスの性染色体は『XY』と『X』が一つしかないため、黒かオレンジ、どちらかの色しか持つことができません。
ごくまれに、遺伝子の異常でオスの三毛猫が誕生することがありますが、その確率は数千分の一(一説によれば3万匹に1匹の確率)とも言われています。
この場合のオスの三毛猫は『XXY』という特殊な性染色体を持っています。
ただし、染色体の異常であるため、生殖能力が普通のオス猫に比べて弱いことが多いです。
寿命は一般的には全うすると言われています。
このように、オスの三毛猫はごくまれにしか誕生しない貴重な存在です。
そのため、縁起のいいものとされ、航海の安全を祈る船乗りたちから引っ張りだこでした。
昭和31年に派遣された南極越冬隊に1匹のオスの三毛猫『たけし』が同伴し、見事部隊を越冬の成功へと導いたとも言われています。
(たけしが南極に降りた後の船は、帰り道の海上で座礁したようです…やはり縁起がいいのかな?)
また、その希少性から、高額で取引をされていたこともありました。
気まぐれやクールな子が多い傾向
三毛猫はメスが多いがゆえに、気まぐれでクールな子が多いのも特徴です。
自分の都合にあわなければ、プイっとしている一方で、ベタベタ甘えてくる瞬間も…
三毛猫は国内外でも人気が高く、人に媚びなくとも生きて行ける環境にあることもこういった性格に関係しているのかもしれませんね。
茶トラや茶白の8割がオス
茶トラや茶白の8割程度がオスであることにも遺伝子が関係しています。
オスの場合、X染色体上に茶色の毛並みを作る遺伝子『O』があるときに茶トラ・茶白となります。
一方で、メスの場合は、X染色体上の遺伝子がどちらも『OO』の場合のみ茶トラ・茶白となります。
『Oo』ではサビ柄、『oo』の場合は赤系以外の色となるために、メスでは頭数が少ないのですね。
茶トラ・茶白の猫においては、瞳はゴールド系、肉球はピンク色の子が多い傾向にあります。
茶トラの明るいオレンジは、野生の猫にはもともとはなかった毛色です。
このオレンジはその昔、トルコ付近で生まれたという説があります。
その後アジアに広まり、日本に入ってきたのは江戸時代ごろという説が有力です。
体が大きく、愛嬌と食いしん坊が多い傾向
『茶トラは体が大きい』と言われるのも、上記でお伝えした通りオスが多いからなのです。
また、オスが多い傾向にあるため、性格もオスらしさがあふれています。
まぬけな動きや表情をしたり、飼い主さんにべったり甘えん坊な子も多いですね。
もりもり食べる子も多くいるため、太ってしまう場合もよくあります。
最強の『白』の遺伝子
毛色や模様の遺伝子は数多くあることはお伝えした通りですが、それらが同時に存在した場合には、優性になるものと劣性になるものがあります。
例えば、全身を白い毛色にする『W』という遺伝子は、他の全ての遺伝子よりも優性です。
そのため、『W』を1つでも持っていれば、その猫が他に黒の遺伝子や茶色の遺伝子を持っていたとしても、真っ白な猫になるのです。
白猫『WW』と黒猫『BB』から生まれた子供は全員『WB』となり、白猫となります。
一方で、孫の代であれば子の代になかった毛色が現れることもあります。
白猫『WB』と白猫『WB』とのかけあわせでは、4頭に1頭が『BB(黒猫)』となるからです。
これが隔世遺伝というものです。
全身が真っ白というと『アルビノ』という言葉を思い出すかもしれませんが、アルビノといわゆる白猫は異なります。
アルビノはメラニンが全くない個体のことで、猫ではほとんど見られません。
アルビノの場合には、目は毛細血管の色が透けて赤色となることが特徴です。
『白いうさぎ=赤い目をしている』イというメージもあるかもしれませんが、これはアルビノ種のうさぎなのです。
いわゆる白猫の目の色は、バリエーションが豊富で、ブルーやイエロー、オッドアイ(左右の色が異なる目)など様々あります。
【まとめ】三毛猫はほぼメス猫、茶白や茶トラは8割がたオス猫である理由
猫の毛色の決定には性染色体が関わっているため、毛色によっては雌雄に偏りが生じます。
三毛猫の場合には、ほぼメスが生じますし、茶トラや茶白のほとんどはオスとなります。
猫の毛色や模様は奥がとても深いです。
大切な愛猫やご近所にいるネコちゃんをいま一度観察してみると、新しい発見があるかもしれませんね!
文:はな獣医師
参考資料
猫の毛色&模様 まるわかり100!色と模様で猫の性格がわかる!,Gakken Mook,2013
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